ふたり「しのぎあい、果てなき絆~日本料理人・山本征治×奥田透~」
8月 3rd, 2010 by Atom
NHKの昨日の夜の番組です。
世界で注目される屈指の日本料理人、ミシュラン三星の奥田透さん(40)と兄弟子で日本料理を創造的かつ革新的に変化させる天才的な料理人の山本征治さん(40)のふたり。
二人は、過去に同じ料亭で修業した兄弟弟子です。奥田さんは店の運転士からスタートし、はいあがってきましたが山本さんは若い頃から天才と言われてきました。
奥田さんは伝統を重んじ、和食の王道を追求して、山本さんは日本料理の革新を求め、常に新しいものを創造してきました。今、奥田さんはミシュランの三つ星と3年連続で獲得し、山本さんは二つ星ながら「世界のレストラン50」に日本料理として初めて選ばれるなどふたりとも活躍しています。
この二人はお互いを強烈に意識をしていて、お互いの技術や考えを今もぶつけあいながら切磋琢磨しています。
なんといっても仕事が終わってからも新たに料理を研究する姿はすごいものです。ふたりとも命を賭けても料理を究めたいと思っているのが伝わってきます。
私の印象では山本さんの「動」に対して、奥田さんの「静」という感じがします。山本さんは自分のカラをどんどん突き破って前に進みます。私は料理のことがわからないのですが、天才的な人だと感じますし、実際にその探究心はすごいです。一方、奥田さんは内に秘めたパッションを静かに突き詰めていく感じです。まじめな努力家で一歩ずつ前に進み確実に力をアップしていきます。
私が印象的だったのは2点あります。
ひとつは奥田さんが悔しくて泣いている姿です。それは山本さんの天才的な才能への嫉妬があり、自分の劣っているという思いからきています。
「なぜ自分にはあのような天才的才能を神様が授けてくれなかったのだろう」
自分に比べ圧倒的に力に差があると奥田さんは感じているのです。
もう一つは料理に対する二人の熱い思いです。
ふたりとも料理が好きで、その道を前に進んでいきたいという思いは半端なものではなく、まさに使命という感じで取り組んでいます。その姿に感動しますし、自分自身のモチベーションも高くなりました。
お互いライバルであり、友人であり、職人であり、その二人の関係があるからこそ、今二人は日本でもトップクラスの料理人なのです。
切磋琢磨という言葉がありますがこの二人はまさにそれをしています。
そして料理を通し、心技体を極めて、魂が喜びを感じているのだと思います。