第五章 均衡のピラミッド
ハトホル
「底面が正方形で頂上の尖ったピラミッドを想像していください。その頂上はあなたがそこまで進化できるという意識の高みを表すシンボルです。頂点をなす意識の高みが底面の四つの基点ないし角で支えられておりその四点はバランスのとれた高次の気づきに達するために不可欠なそれぞれの要素を表していることの注目してください。あなたの解釈や経験における自己の土台の安定性、すなわち四つの基点による基盤が持久性をもつことが非常に重要になるのです。私達がこれからお話しする安定性の要素である四つの基点は文字通りこの世におけるあなたという存在の礎石(そせき)であると言えます。注意深く以下の項目を読みそれぞれどのように感じるかを心にとめてください。
1、あなたとあなたの肉体および「カー」を含む精妙なエネルギー諸体ととの関係。
2、あなたとあなた自身または他者との関係。
3、あなたとあなたの宇宙や世の中や地域社会に対する奉仕との関係。これは仕事という形をとる場合が多いが必ずしもそうでないこともあり職業だけに限るわけではない。
4、あなたとあなたの暮らす世界を構成する聖なる元素との意識的な関係。地上に暮らす人類にとっても「聖なる元素」とは、土、火、水、気(空間)である。
あなた自身の肉体と精妙なエネルギー諸体が強い「カー」を気づくことの重要性とどう関わるかはすでに論じてきました。あなたが自分の肉体あるいは精妙なエネルギー諸体との関係を確実なものにすることは特にきわめて重要になってきています。それはあなたの意識がより高次のレベルへと上昇しはじめた場合、体がエネルギーを支え維持することができないと逆にあなた自身が下へ落ち込むことになってしまうからです。肉体に引き戻されて高い意識の状態にとどまることができなくなるのです。したがってアセンションのための四つの基盤の一つ目は肉体を含め「カー」およびすべての体が強く活性化されている必要があるということです。霊的明晰さをそなえてアセンションに臨むプロセスの一環として強く活気づけられた体を持つことの緊急性はあなたがたもしっかり掌握くださると思います。基盤の二つ目は自分自身を知り、調和した人間関係を築くことです。古代エジプトの神秘学派の神殿、特にハトホル女神の神秘学派などでは人との関係についてある程度の人生経験を積んでいなければ普通、入門許可は下りませんでした。入門志願者が参じるとその人の人間関係を含むすべてが審査対象となりました。志願者に肯定的でしっかりとした他者との結びつきが育まれていないとせっかく意識が高まりつつある際に否定的な人間関係が障碍物(しょうがいぶつ)となりその秘儀参入者は予測に反して低次の周波数ないしエネルギーに落ち込んでしまうからです。今日の地上には人間関係を余分なものと見なし肯定的で積極的な人間同士の交流は不要であるゆえに迂回してよいと考えている人々もいます。私達の解釈においてはそうした考えは誤りです。自らの体験や要求や願望に正直であると同時にそうした気持ちを自由かつ率直に伝えあえるような明確で誠実な人々との関わりが必要なのです。中略。私達が見てきたところではほとんどの人が自分の感情を切り捨てたり真実を言わなかったり本当の意図を自分にも人にも隠したりして不快な状況を避けています。その結果、本来なら意識が水晶のように澄み渡って明晰になる絶好の機会であるにもかかわらずどんよりと曇った意識になってしまうのです。残念なことにこうした状態が人間関係において頻繁に体験されています。こうした不均衡が起きる原因は少なからずありますが私達はその原因にいちいち言及するよりも解決策を投じたいと思います。その解決策の基本とは人との関わりの中でできるだけ直接的で素直であることそして自分の欲求や願望をできるだけ誠実かつ明確に相手に伝える努力をすることです。地上のあるいは高次領域の教師の多くが幾千年にわたって人との関わりの大切さを説いています。私達はその真実を強調するため彼らに賛同しているに過ぎません。あなたのアセンションのピラミッドにある底面の四つの基点の二番目を具現化できた時、ピラミッドはさらに安定し堅固なものとなるでしょう。それはあなたがピラミッドの頂点である高次の意識と気づきの状態に一歩近づく足場となるのです。底面の四つの基点の三番目はあなたが地上での時間をどのように送るかつまり世の中での仕事や他に対する奉仕に関わるものです。これは仕事と重なる場合が少なくありませんが職業だけというわけではありません。それ以外のこともあります。あなたがどう世界と関わっているか、どう世界と対峙しているか、自分のエネルギー、関心、奉仕だといった観点から世界に何を与えているかということです。あなたの仕事や奉仕活動はあなたが真実の自分をいかに表現しているかにつながります。「仕事とは愛の顕在化にほかならない」という言葉がありますが私達も同感です。あなたが従事する仕事はあなた自身の愛や気づきや意識、そして熟達した知識や技能を顕在化する場なのです。仕事は自分の個人的表現でもあり内側の不明瞭だったり混乱して濁っている部分を映し出して見せてくだれます。したがってもしあなたが今の仕事にありは創造性や愛の表現による今の世の中との関わり方に満たされないものを感じているならあなた自身の内側のその領域で意図が不明確なところに目を向けることをお薦めします。問題は仕事にあるのではありません。問題は仕事や奉仕というエネルギーの使い方を通してあなたがどう世界と関わっているか、あるいは関わることを拒否しているかなのです。ピラミッド底面の四つの基点の最後、四番目は「聖なる四大元素」と言われる諸元素とあなたとの意識的な関係です。この件については後ほどもっと詳しくお話するつもりなのでここでは地球を構成する四大元素とは土、火、水、気(空間)であることを述べるにとどめたいと思います。ここでいう元素は化学で学ぶ元素ではなく元素の精妙な状態を比喩的に指したものです。これらの「聖なる元素」とは実のところ、大いなる目覚めた存在達に他ならないのですが読者のみなさんの中にはこの事実を初めて耳にする人もおられるでしょう。あなたの周辺や流れる気の元素には意識がありあなたが呼吸する空気(あなたが生きて活動する空間)は意識を有した存在です。また、あなたを支えている土の元素は実際あなたの体を構成しておりやはり意識があります。地球上の水、雲の形をとって空を浮遊する水、さらにあなたの体の水分にも意識があります。火の元素についてもまた同様です。中略。」
中略。
ヴァージニア
「今の私達の科学的思考力がそれらの元素は単なる化学的解釈以上のものであるという概念を取り込めるほど成長するにはどうすればいいのでしょうか。」
ハトホル
「私達は物質の分子や原子構造を表す「元素周期表」でいう元素とは異なる意識レベルについて言及しています。周期表における元素の原子の描写は正確ですが観察者がより精妙な意識領域に移行するとものごとはもっと比喩的になるのがわかるでしょう。中略。もっと深いレベルで原子構造を見ていくのであれば原子以前の量子場と呼ばれるものをひも解くことになります。量子場についてはまだ大きく誤解されていますが実際の原子や原子内部(亜原子)の素粒子はこの量子場から出現するのです。それらの原子構造が結びつき化学の分野で知られる分子や元素周期表にある元素となるのです。量子場をさらに精妙なレベルまで深く掘り下げていくと自分が意識そのものの中に存在しているという地点に到達します。その根拠として実際の量子場の現実(リアリティー)とは意識であることが間もなく発見されるでしょう。つまり物理的元素とはもっとも精妙な深いレベルにおいては意識であるものが物質として外界へ表出したにすぎないのです。あなたの意識がより深く精妙な層に移行すると古代人が「聖なる四大元素」として認識していたものと接することになります。それらも意識の中にある概念ですが単なる思考概念とは違い、生きているのです。このレベルまで来るとあなたがたの言語で伝えられることは非常に限られてしまいます。中略。」
ヴァージニア
「中略。それではあなたがたが「意識」という言葉をどう理解されているのかうかがいたいと思います。中略。」
ハトホル
「このテーマにはまず「上に在るがごとく、下もかく在り」というヘルメスの神秘的教理を用いてアプローチしたいと思います。これはいかなる意識のレベルもすべてを含み、その上あるいはその下にあるものを反映しているとうことで単に視野や次元の問題にすぎません。人間の神経系を見てみればそれが自己意識を持っている可能性がおわかりになるでしょう。したがって人は自分たちの環境を意識しているだけでなくある意識状態においては自分が自らの環境を意識していることを意識できるのです。これは内省であり自覚です。物理的見地から言うとこれができるのは脳が視神経によって自身を基準として顧みられるように組織されているからです。これが自己の存在を意識するということです。目醒めている時や自分の周囲で何が起きているかわかるときを指して「意識がある」と言います。しかし通常、人であるあなたは知覚可能な現実(リアリティ)の1パーセントも意識できていないと言わなければなりません。そうなってしまうのは人の脳が知覚を期待するもののみを知覚するために実際には知覚できているものの大半を取り除いてしまうからです。中略。肉体の神経系(脳、脊髄、末梢神経)は感覚情報のうち非常に限られた帯域幅にあるものしか知覚できません。しかし精妙なレベルの神経系は肉体の神経系にそれほど縛られていないため意識そのものの量子場に近いと言えます。この精妙な神経系がさらに発達すれば気づきが量子場まで広がるようになります。そうなれば自分の近くにない情報であっても自分のところに「引き寄せる」ことができまます。つまり物理的な自分の居場所に限定されずに情報が得られるということです。肉体の神経系と同様に印象は脳内で受け取られます。しかし印象の出所はほとんどの人が考えるような知覚内にはないのです。中略。最終的には意識のもっとも深奥(しんおう)に達した時、人はありとあらゆるものごとに通じるようになるのです。これが全知と呼ばれるありかたです。それはあなたにも可能でありそうしたレベルへの到達は人類の潜在能力なのです。もちろんそのレベルにあっては現在の人類の基準からしてもう人間とは呼べないかもしれません。しかしそれでも物質的形態を保っていることは可能です。中略。しかし最終的に物理的感覚作用を越えた気づきを作動させない限り全知の達成は不可能です。これは視野の問題なのです。」
ヴァージニア
「その視野という言葉の意味がよくわからないのですが」
ハトホル
「視野とは本人が気づいている領域をいいます。たとえばあなたがこのページの内容に集中している時、周囲のことはわかりませんね。でも周囲をぐるりと見回せばあなたの視野が変わりそれまで気がつかなかったものごとが見えてきます。意識についてもこのように考えられるのです。五感からの知覚のみに焦点を合わせていればあなたが知覚できるのはそれだけです。しかしもし自分の精妙なレベルの神経系も発達させれば別のレベルの気づきも認識しはじめることができます。それらは宇宙という織布(しょくふ)の一部であり基盤なのです。しかしあなたの主要な焦点が五感によるものであれば精妙なレベルの印象は希薄になります。つまり視野の原理はあなたが関心を向けている周波数の範疇、換言すればあなたが注目しているところに及ぶのです。意識に関する法則はきわめて明快です。視野の原理はあなたが潜在的に気づくものごとを決定します。もしあなたの自覚できる気づきの視野が広がれば意識の精妙な領域に入っていくことができます。そこはすべてのものごとが存在に向けて出現する土壌なのです。逆に視野や焦点を拡大しなければ精妙な領域に立ち入ることはできません」
中略。
ヴァージニア
「創造における私達のレベルでは「カー」が神のエネルギーであるということでしょうか。」
ハトホル
「そうです。私達の理解するところでは「究極の源」ないし「創造主」という存在がありあらゆる次元、あらゆるレベルの全宇宙を支える事実上の振動エネルギー場を創造しています。そうした畏敬すべき創造の中には最高レベルにはいたらないものの力のある創造主たちが無数におりさまざまな世界や宇宙までも顕在化させています。そうして神々も自由意志と選択の自由を有しています。それで創造は衰えることなく永続しているのです。自己の存在を意識する存在もまたすべて創造主です。意識は精妙な領域へと発現して三次元の地球に入ると生命力すなわちプラーナのエネルギーとなり今度はあなたの「カー」を通って循環します。ですから「カー」を大切に保護するというのは「創造主」からのもっとも大切な贈り物を保護することになるのです。」
非常に具体的なわかりやすい説明がなされています。私達が神であると事、そしてそれは意識をどこにフォーカスするかによってきまります。具体的にそのための手法としては五感を越えて知覚できる精妙なエネルギーの存在を感じられるかどうかが鍵となります。ハトホルは「カー」を強力にするためのエクスサイズについても語っていますがそれは本の方を読んで確認してみてください。決して方法は難しいものではありませんが気づけるかどうかがポイントになります。