第三章 感情と人類の進化ハトホル
「人類の進化を加速する概念についてお話ししたいと思います。それにはあなたがたが「感情」や「感覚」と呼ぶものを扱っていく必要があります。私達の間では感覚と感情に明確な区別があります。感覚とは肉体に体験される感化刺激のことでそれには物理的な感覚と内なる精妙な世界での感覚の両方が含まれます。また感情とはこの感覚に加えそれに関する思考が合わさったものであると定義しています。例えば空が曇って肌寒いと「感じる」というあなたの誠実はそうした環境に関する特定の情報を伝えてきます。それらの情報は体の神経系によって感受されます。さらにその感覚は翻訳されて精妙なエネルギー諸体にも情報として伝えられます。この場合、もしあなたが曇って肌寒いことに否定的な思いを抱いていたとするとその日を「憂鬱な日」と決めこんで暗い感情を体験するでしょう。こうしたことが起きるのはあなたが感じるという性質を通して知らず知らずのうちに感受した中立的な感覚に対し、いい悪いの判断をもって反応してしまうからです。興味深いことに一方ではどんよりして肌寒いくらいの天気の好む人もおりそういう人はそんな天候を思い描いただけで気分が高まったりします。感覚そのものの真の姿は肯定的でも否定的でもなくあくまで中立な報告です。あなたのエネルギー的な感受性や適応性の世界で何が起こっているのかを知るための一種のバロメータにすぎません。あなたが感じるという性質は「カー」と密接に結びついた感情体に起因しています。感情体のエネルギー場はあなたの肉体を取り巻いているだけでなく肉体と重なり合ってもいるのです。感情体は何らかの原因で活性化されると特定の速度で振動しはじめ「エネルギーの流れ」を放ちます。それは体中をくまなく流れますがその流れが相当強く感情反応が生じるような場合には肉体の体内組織にも流れが感受されます。よって感情反応が強ければ強いほど肉体が受け取る感覚刺激は大きくなるのです。アセンションのプロセスにいたる鍵の一つはエネルギー的にいうならあなたたのエネルギー場を開いてそれが自由に流れるようにしておくことです。より多くのエネルギーをより肯定的な形で流すことをマスターする能力は感じる性質を育むことによって身についていきます。感情は健康に影響します。そのことは地球に科学によってもこれまで以上にはっきりと実証されています。しかもある種の感情、すなわち無条件の愛と受容という感情の振動エネルギー場にあるときわめて重要な特定の肯定的共鳴が起こります。これは細胞間の共鳴を生み、DNAに肯定的な影響を与えます。それによってDNAは強化され、情報のより正確なコード化が促進されるのです。こうした肯定的な共鳴は実際にあなたが無条件の愛と受容という感情をいだいたそばからその都度発言します。当然のことながらあなたがそうした感情を多く体験すればするほどあなたの自己全体は例えばDNAや肉体、感情体などといったあらゆるレベルで益することになります。そして「カー」のプラーナ体が強化され幸福感も増すことになります。無条件の愛と受容のエネルギーを感情体の内に循環させることでより深いヒーリングが活性化されバランスがもたらされるのです。あらゆる感覚や感情を自ら体験していくことはあなたの「カー」にエネルギーを流すパワフルな手段です。しかし苦しくて困難な立場におかれた人は往々にして自分の状況を頭の中で「悪いこと」と分類しそのために生じる感情に抗(あらが)おうとします。自分の感覚や感情に抵抗していると感情体は本来の振動を保てなくなり凍(い)てついて固まってしまいます。感情体の動きや振動が正常でなくなると知的認識力が低下し思考も曖昧で不明瞭かつ混乱したものとなります。今、地球に日常的に起きている状況とそれによって生み出される感情は実際にアセンションとエネルギーの自己統御につながるより高次の意識へのイニシエーション(秘儀参入あるいは通過儀礼)的な段階に他なりません。古代エジプトの神殿において高次の意識の獲得を目指した秘儀参入者(イニシエート)達は段階を踏むごとにさらなる精進を求まれれるさまざまのイニシエーションを通過していました。しかし今日ではあなたの日常こそがイニシエーションのプロセスなのです。あなたはイニシエーションを受けるためにどこへ赴く必要もありません。なぜならたとえあなたがどこにいようとこの世に生きることでイニシエーションを授かっているからです。自分自身の感覚や物事に対する感情反応に気づくことが重要な鍵なのです。それは気づいてはじめてバランスととることができます。感情体と「カー」はエネルギー的につながっているため「カー」を強化してあなたの感覚や感情を完全な肯定的気づきに向かわせることにより自らの進化を大幅に加速させることができます。感情体は独自の共鳴振動を有し「カー」とは別の動き方をします。周波数が異なるため情報に対する反応やたくわえ方も違います。これはきわめて重要なことですからぜひともあなた自身で体験してつかんで欲しいと思います。それを自ら体験することによってあなたの感情体がどのように記憶を保持し感情パターンがどう表現されているかを真に理解しさらにその結果、あなたが一刻も早く困難きわまる感情空間から脱出してマスターの域に達するよう私達は願って病みません。」
ヴァージニア
「ありがとうございます。私達の肉体以外の様々な精妙なエネルギー諸体についてそのエネルギーの場の大きさや形などまだあまりお聞きしていません。そこで私達がもっともエネルギーの強い状態にある時、あなたがたにはどのように見えるのかうかがいたいのですが。また私達のエネルギーが正常に動作していない時についても教えてください。」
ハトホル
「肉体以外については様々なエネルギー場が重なり合いそれぞれのエネルギー場は明るく輝く光の卵のような形をして互いに包む込むように存在しています。実際、「カー」とはエネルギー場の複合体であり基本的な形は肉体よりわずかに大きいだけで肉体の形に似ています。それゆえ古代エジプトの錬金術では「エーテル的ツイン」ないし「霊的ツイン」と呼ばれたのです。初期のエジプト人はその性質や肉体との関係を理解していましあ。事実「カー」には動き回ることや遍在することも可能です(遍在とは二カ所以上に同時に存在することです。)。「カー」はその周囲をオーラと呼ばれるエネルギーに囲まれており私達はそれを「プラーナ体」と呼びます。私達が「カー」に言及する場合はたいていその基本となる形とオーラ場の両方を含めています。オーラ場は他のエネルギー場とよく似た卵型をしており当人の意識が上昇するにつれて非常に大きくなることもあります。「カー」をとりまくこのオーラ場はアセンションの上昇移動との時に発火する瞬間があり、あざやかな金色の光のエネルギー場となります。初期のエジプト人はこれを「サッフー」すなわち光り輝くばかりの霊体と呼びました。いずれにしても私達がここで語っているのは非常に進歩したエネルギー状態です。一般にほとんどの人のプラーナ体の大きさは肉体よりも数センチから数メートル広がったくらいです。その次に来る感情体はプラーナ体(「カー」)よりわずかに大きくなります。次のメンタル体は肉体の周囲の空間に記憶をホログラフ的に保持しているためさらに少し大きくなります。その次にくるアストラル体はメンタル体よりもほんの少し大きい、せいかくにはより精妙な鞘(さや)であると言えます。アストラル体の外には次なる光の卵型のエネルギー場があり私達はエーテル体と呼んでいます。そして最後がもっとも密度の薄いコーザル体で他の数々の光の卵の上に光の点として位置しています。以上の精妙なエネルギー諸体はどれもすべて光と音をともなっています。それらの周波数は高すぎて物理的に見たり聞いたりはできません。でも心霊的に敏感な人は見たり聞いたりすることができます。私達は人々の進化の段階をそのエネルギー場から発せられる光と音の質によって確認できるのです。あなたのエネルギー場が正常に動作している時には調和的な光や音が発されます。しかし制約的な感情パターンや思考を抱いていたりすると場の色彩や音は不調和なものになります。自己に過剰な制限を課しているような場合にいたってはエネルギー体の一つないしそれ以上が実際に回転に異常をきたしぐらついたり、ブレーキがかかったり、凍結状態になっていたり、極端な場合にはある一つのエネルギーがばらばらに断片化していることさえあるのです。」
中略
ヴァージニア
「自分の感覚に気づくという訓練はどういった感情からはじめるのがベストなのですか。肯定的なものからでしょうか、あるいはもっと激しいものからでしょうか。」
ハトホル
「できれば「肯定的」あるいは「否定的」とされるものを含め、たくさんの感情を実際に体験してみるといいでしょう。それによって否定的感情や肯定的感情がそれぞれどこで脈打ちそのように感じられるかがわかるでしょう。まもなくお伝えするこのプロセスの次の段階では肯定的で整合性のある感覚を扱います。最初のステップは「感情反応の語彙」があることに気づくというものです。そうした語彙は音声言語ではなくあなたがそれに気づいた時点で脈動やリズムや部位という言語によって示されます。その脈動に意識を集中することにより、それらが伝えてくる楽しく目覚めた生活をするための助けとなる情報を現実に受けとめることができるのです。」
ヴァージニア
「わかりました。それでは脈動や部位とうものについてもう少し教えてください。多くの人にとって手引きなしでそれを確認していくことは難しいと思います。どういったことから着手するのが一番よいのか、その点で何かご示唆はありますか。一人で始めるのがいいのでしょうか、それともグループで始める方がいいでしょうか」
ハトホル
「各自が自分の記憶をさかのぼり特定の感情を喚起するような強い感覚を選ぶとよいでしょう。できれば肯定的な感情から始めたいと思うかも知れませんがそれはあまり重要ではありません。過去の体験の再現だと思ってください。ただ、その状況を非常に鮮明にあたかも今初めて感じているかのように思い出す必要があります。その時の感覚を確認できたらそれが肉体のどこにあるかに注目してください。その位置は文字通り感情体のエネルギー場のどこで脈動しているかを示しています。この位置では感情体にあるエネルギーの流れが肉体と相互に浸透しあっています。それで感情の脈動が感じられる部位が感情体のエネルギーが脈打つところと重なるのです。こうして肉体に対する感情体のメッセージが認知されるのです。」
中略。
ヴァージニア
「ときに私はヘビが大の苦手なのですがもし今、ヘビに出会ったとすると最初に起きる反応は恐怖です。私は震え上がります。しかし今生で私はヘビに襲われたり咬まれたことはありませんから明らかに私の思考のプロセスが何らかの否定的な考え方に影響されていると思うのです。」
ハトホル
「私達の解釈ではそこがまさにポイントです。エネルギーの問題は感情体と「カー」が非常に近いものであると気づくことなのです。恐怖が生じた時、感情体が非常に速く振動しはじめます。そしてもしあなたがその恐怖の感情と同一化した場合、恐怖は増幅されてしまいます。恐怖のパターンの強さによってはその恐怖を感じている自分自身と向き合うことで解決される場合もあります。しかし感情体が恐怖に襲われ恐れの波動でいっぱいになってしまう場合にはメンタル体に勝ってしまうためその状況から脱する術(すべ)を考え出せなくなるのです。それが恐怖で麻痺した状態です。しかしあなたの意識が「カー」に移れば恐怖を即座に変化させることができます。解決法はと言えば、中央柱であるプラーナ間に話を戻すことになります。激しく困難な感情や感覚を経験したらまずはそれが体のどこに位置しているかを確認します。なぜならそれはのちのち参照基準として必要になるからです。そして意識を「カー」とプラーナ管に向け、体の中心に走るプラーナ管の真ん中に意識を置きます。それはつまりあなたの意識が「カー」に移ったということです。するとあなたの感情体も変化しはじめます。プラーナ管の不動性に対して恐れの波動はぐらつきはじめ恐れは徐々に薄れて扱いやすくなるのです。」
中略。
ヴァージニア
「では「カー」のエネルギーの強化は不可欠ということでしょうか。」
ハトホル
「はい。日々「カー」に注意を向けることは日課の一部になりうることです。それは健康とより高次の意識を得るための人類の方程式の一部なのです。」
中略。
ヴァージニア
「十二本の螺旋状のDNAがたった二本に減ってしまうという事態がどのようにして起こったかについてはとりあえず判断を保留しておくとしてもかつて一度は所有していた十二本のDNA鎖を失ったことに対する人類の怒りについて何かご意見をいただけませんか。」
ハトホル
「その怒りはいくつかの理由によって徐々に消滅するにいたっています。まず怒りは整合性を欠いた感情であるということです。そして感情体が整合性のない感情を保持しているかぎり、高次の螺旋にいたるような正常な共鳴を起こすことはできません。どんな状況であれ怒りを持ち続けるかぎり人は結果的に自分たちの成長を疎外していることになります。それが地上界での人間関係であろとうと自己と大いなる「創造者」との間であろうといかなる分野での出来事であっても怒りの存在は進化を妨げるのです。しかし別の視点から見ればその怒りはエネルギーを失いつつあると言えます。意識は全て循環し流れ私達はきわめて暗澹(あんたん)たるサイクルから意識が再び目覚めるところに出ようとしています。意識は宇宙のさまざまな時間と空間領域の中で眠りまどろみます。意識は時として高度な発展をとげるサイクルに移行しますがそれ以外は暗闇へと後退するサイクルにあります。後退期のサイクルにおいては最低限の潜在能力をもつに留まります。そしてすべての意識が事実上失われ意識の深奥で睡眠状態に入る時点があります。こうしたサイクルは何累代にもわたり無限に繰り返されます。これは成長のサイクルであり、あまりにも広大なため人類には計り知ることさえできません。生命とは意識の周期運動に過ぎず私達全員が今やその周期運動の中でまどろみから目覚めつつある意識の一部なのです。DNAが「奪われた」ことに怒りを感じている人に対する私達の提案は非常にシンプルです。過去を赦(ゆる)してください。それをただ手放してください。」怒りは消散させて今あなたの目の前にあるものごとに関わってください。怒りをもってできるのは自分の成長を阻止するだけです。それ以外に怒りで成し遂げられることは何もありません。進んで愛や受容や奉仕を迎えるということは他に出来るどんな行為よりも過去を癒す助けになりあなたの前進をうながすでしょう。人はこのような怒りでさえ「自己のエネルギーをマスターするエクササイズ」の一環として活用することができるのです。」